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No.007 和心亭豊月 中庭

土も植物もない無機質な庭


土がないと庭は作れないと思っていませんか?
ここは旅館の中庭ですが、箱根という土地柄年間の降水量が非常に多く、大量の雨が土砂を削ってしまい地盤沈下の恐れもあったので、解決策として表面排水を処理できるようコンクリート舗装してU字溝を埋設しました。機能的ですが以前の面影はなくなってしまいました。(以前はタマリュウ貼りの築山にヒメシャラが植えてありました)
この土のない中庭にいかにして「やすらぎの空間」を演出するかが、今回のテーマでした。雪見灯篭は立派なものが以前からありましたのでそれを利用し、当地「芦ノ湖」を表わす海をメインに構成してみました。

 

施工前
まずは施工前の写真です。

施工後
宴会場の廊下から見える所に「盃のオブジェ」をアクセントとして据え、
陸地の部分に丹波石を乱貼りしていきます。
オブジェは図面を渡して石屋さんに特注しました。



完成状況です。
盃に水を張り、「芦ノ湖」には粉砕ガラスを使ってみました。ガラスびんのリサイクル工場を何件も当りましたが目的の大きさや色がなかなか見つからず、とうとう水戸まで出掛けて仕入れてきてしまいました。(念のため言っておきますがこの手の粉砕ガラスはビンとしては再生出来ない種類だそうです)普通の化粧砂利を敷いても用は足せるのですが「芦ノ湖」の微妙な色合いとさざめきを出したくてこだわってしまいました。これを「邪道」と見るか「斬新」と見るか人それぞれでしょうが、施主様も満足してくださいましたし、私としてもガラスという素材が以外に温かみがあり石材ともマッチすることを発見でき、成功と思っています。
施工後


U字溝のグレーチングを隠しているのは人工タマリュウです。実際にこの庭を眺めてこれが人工材であることを見抜く人は稀だと思います。”緑色”をしているだけで植物として受け入れてしまう人間のある種の錯覚なのですが、それはそれでいいように思います。あえて教えて「だまされた!」なんて不快な気分にさせる必要はありませんよね。
人工タマリュウ
ガラス砂利(?)と人工タマリュウの拡大写真。

人工スギゴケ
みちしるべ灯篭の足元も人工のスギゴケです。

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