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4月にできること

(1)樹木剪定について

「4月の作業!」と元気よく書き出せないのは、この時期は言ってみれば”じっと我慢の月”だからです。桜が咲き、木々の新芽がいっせいに萌え出すのをたっぷり眺めましょう!
 落葉樹も常緑樹も新芽が動いている(伸びている)間は基本的に剪定や刈込みをしません。レッドロビンやキンモクセイなど新芽がぐんぐん伸びてきて、焦るかもしれませんが新芽が固まるまで(伸びきるまで)じっと我慢して待ちましょう!(写真1参照)ただし、2通りの考え方があります。

(1)生垣などの様に刈り込んで形を整えるのなら、新芽が固まるまでもう少し待ちますが、(2)今年は一回り小さく仕立てたいとお思いなら、強く切り戻すにはむしろ早いほうがいいのです。(2)の場合は去年あるいはもっと以前に枝分かれしている部分のすぐ上で鋏みます。出来るだけ脇枝を残して剪定します。去年枝の途中で切るだけなら(1)の刈り込みと変わりが無いので今やる必要はありません。あくまでも「ぐっと小さくしたい」という場合の話です。(写真2参照)


レッドロビン芽吹き
(写真1:すさまじい勢いで萌芽するレッドロビン)
(2)の説明
(写真2:剪定時期と位置)


常緑樹の場合、新芽が固まると古葉を落とします。ごく稀に常緑樹は葉っぱが落ちないと思っている方がいますが、かなりの量を落葉します。この落ち葉を放置すると、そこが病害虫の温床になってしまう場合がよくあります。レッドロビンの例でいえば、最近多く見られる「褐斑病や灰色かび病(赤黒い斑点が葉っぱに出て、ひどい場合は枯死させる)」などは、この落ち葉から菌を飛ばして伝染しますのでいくら木を消毒しても意味がなくなってしまいます。古葉が落ちたら掃除しましょう。

(2)消毒について

 消毒と言えば、もうアブラムシやキジラミが活動し始めていますね。(写真3参照)アブラムシ、キジラミ、ハダニ、グンバイムシといった害虫は樹液を吸うタイプの虫です。マラソンやスミチオンは入手も楽で一般家庭でよく使われますが、これらの薬は虫に直接かからなければ殺傷できませんし、薬効も短いので(せいぜい数時間)掛け残しがあると効果がありません。
 薬剤には大きく分けて3種類の効き方があります。(1)接触作用型(2)食毒作用型(3)浸透移行性型です。簡単にいえば(1)はマラソンやスミチオン、ディプテレックスのタイプで、直接虫に掛けなければ効果が出ない即効性のもの、(2)は薬液を枝葉に吸着させて、その葉っぱや枝をかじった虫が死ぬタイプで、比較的薬効が長いもの(3)は葉っぱから薬液を吸収させ、薬が樹液に混ざることで、その樹液を吸った虫が死ぬタイプ、です。
 それぞれのタイプでたくさんの銘柄の薬剤が市販されていますが、うちでは(1)はディプテレックス(2)はマラソン乳剤(3)はキルバールを主に使用しています。(3)にはオルトラン粒剤などもありますがあれはせいぜい鉢物ぐらいにしか使えず、大きくなった樹木にはとても量が足りません。液剤として葉っぱに散布するタイプなら効果はありますが、オルトラン粉剤を水に溶かして使うのはちょっとめんどうです。

 話を戻しますが、つまりアブラムシ類には(3)浸透移行性の薬剤が効果的ということです。多少の掛け残しがあっても大丈夫です。(ただし、ハダニ類はいわゆる昆虫の部類ではないので、薬剤もハダニ専用のものがあります。)樹勢を吸い尽くされないうちに虫を発見したら早めに対処しましょう。ただ注意点として、使用量をきちんと守ること、薬剤は掛け残しがないよう満遍なく適量を散布すること(したたるほどかけるのはダメです!)、葉の表面ではなく裏側に散布すること、メガネやマスクの着用と残った薬液の安全な処理はいうまでもありません。その他消毒に関して言い足りないことは後日「能書きのページ−作業の理屈」に追記しておきます。

モミジに付いたアブラムシ
(写真3:モミジに付いたアブラムシ)


(3)その他の作業

 常緑樹は移植の適期ですが、地域や樹種によって不適なものもありますので、詳細は現地の植木屋さんにお問い合わせください。移植についてはまた長い話になるので別の機会にいたしましょう。
 あとは、芝生のエアレーション(芝地に穴をあけて土の中に酸素を供給する作業)や目土入れにはよい時期ですので、庭木をいじれないこの時期に芝生の管理をしておきましょう。


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