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Q009:
松の手入れのさぼりかたって...
我が家の庭にある三本の松の手入れについて教えて下さい。
 前の持ち主が手入れしきれなくて暴れまくっていたのを、なんとか3年がかりでそれなりの姿にまとめてみたのですが、こんどは私自身が、来春から2年ほど海外赴任になりそうなんです。
 少々暴れるのは仕方ないとしても、2年後にリカバリーしやすくなるような手入れ方法ってありますでしょうか。
 とりあえずは暴れるにまかせて、また、三年がかりでまとめるしかないのかなぁ、と思っていますが。

A:

難しいですね。なにせマツは最低年1回(正規には2回)の手入れがどうしたって必要な木ですからね。でも事情がおありのようなのでコツをお教えします。
 数年マツを放っておくとどうして無様になるのか、それは一口に言えば枝が間延びするからです。マツは1年目の古葉を自分で落葉できないので枝の中に積もらせてしまい、陽が入らなくなった部分の新芽が枯れ、陽のあたる先端部分のみが伸長して間延びしていくわけです。芽の詰んだマツに仕立てるために古葉を人工的に取り除き、間延びを防ぐために新梢を詰むというのが手入れの理屈です。<>br  2、3年手入れが出来ないのなら古葉を積もらせない工夫が必要です。何月に海外赴任されるのかわかりませんが、今の時期にしっかり古葉をむしって陽を入れておき、春(できれば5月初旬)に普通のミドリ摘みではなく、小さな脇芽に全ての枝先を詰め込んでください。言うまでもありませんが古葉をむしる時、来春切り戻すべき小さな芽当たりをもいでしまわぬよう慎重にお願いします。この小さな芽を欠いてしまうと春に切り戻しができません。木によってはこの脇芽が非常にモロイ場合があります。脇芽を残すのが難しいようでしたらむしろ古葉むしりはやめておいて、来春の切り戻しに懸けた方が無難です。そのくらいこの脇芽は大事です。
 枝の途中に吹いている小さな芽だけで仕立てるわけですから見栄えは良くありませんが「暴れにくい」剪定ではあります。新葉の数も少ないはずですから来年の暮れに積もる古葉も少なくなり2年目でもまだ中に陽は入るでしょう。
 なかなか言葉では説明しにくいのですがおわかりになったでしょうか?

 経験があればご承知でしょうが、脇芽が無い枝は切り詰められません。かならず芽を残して切り戻してください。通常の「ミドリ摘み」の概念からは離れて思い切ってやってみてください。



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