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投稿日:2007/03/04(Sun)

Q:83-1  我が家には、作ってから十年程経つアカメの生垣があります。最近、生垣の下のほうの葉がどんどん少なくなってきて、密度の無いスカスカ状態になってきております。枝も上部と比べ断然少なくなってしまいました。

 そこで質問なのですが、生垣の下部に枝や葉を再び充実させることは出来ないのでしょうか?

A:
 全般に言えることですが、木は上に伸びるのが商売ですから下枝を見捨てながら成長していきます。自らの樹冠が茂れば下枝には陽が当たらず光合成出来ないため不要になってしまうわけです。ですから逆に言えば常に樹冠を剪定し木の上部を充実させなければ下枝も必要とされるので枯れにくくなるわけです。

 上部を強めに下部を弱めに剪定するのは常識ですが、樹冠の勢いを抑える剪定・枝抜きは単に刈り込むのとは違い技術を要します。意識しているつもりでもどうしても頭が濃くなり、気がつけば下枝は貧弱になってしまいます。木の下部まで元気がある木なら下枝でも切り詰めたところから芽が吹き茂ってくれますが、下枝が寂しくなり出した木は切り詰めれば余計に弱くなり場合によってはそのまま枯れてしまう枝が多くなります。

 まだ木に活力がある場合は「根切り」によって下枝を再生することが出来る場合があります。2月頃に根を切ってそこから新しい根を出させることで下枝の更新を図るものです。弱りきっている木には逆効果なので判断が難しいですけど。

 生垣の木と木の間の透けた部分にサツキなどの灌木を植える方法もよく採られますが、生垣の木の根の上に灌木の根を乗せてしまうような植え方をすると生垣が「深植え」の状態になり窒息により枯れが更に進んでしまいます。生垣と灌木を前後に構えるような植え方が出来るスペースがあればよいのですが。

 さて、まだ答えになっていませんね、、、。
 「取り木」というのはどうでしょうか?「取り木」には色々な方法がありますがその中に「伏せ取り」という方法があります。下枝の元気そうな長めの枝をいったん地面に向かってぐいっと下げて着地させUの字を描くように再び立ち上がらせて固定します。園芸用の銅線とプラ竹などでUの形を作るとよいでしょう。Uの底の接地部分をよく耕し(元々の木の根は多少切り取っても新しい根のスペースを確保する)地面に埋めてそこから発根させる方法です。定着までには長いと2年くらいかかりますが根付いてしまえば下げた枝とは切り離して新しい苗木として生きていきます。うまくいけば将来的には親木がダメになってもこれに更新することが出来ます。お試しになってはいかがでしょうか?

 いずれにしてもまず樹勢がなければ始まらない話です。根のまわりをほぐして堆肥を鋤込み有機質肥料を与えましょう。もし羅病した葉などが落ちていたらキレイに撤去してください。

 「伏せ取り」は時期を選びません。接地させた部分が乾燥しないようにだけ気をつけて経過を見てください。

Q:83-2 よくわかりました。下枝を復活させるためにも、(1)上部の枝抜き(2)根の更新(3)土用の活性化かなと思いました。やってみようと思います。いざとなったら、取り木も挑戦してみようと思います。

 ここでまた質問なのですが、生垣に植わっている樹は「カナメモチ」です。この種は「根が悪い」と聞いた事があるのですが本当でしょうか?もしもそうならば、根切りをする際にも注意しなければならないと思うのですが、カナメモチの根切りに関してコツや注意点があれば、教えていただきたいです。

A:
 「根が悪い」という表現は適切でないかもしれません。個々の木についてそういうことはありますが種全体を差して「悪い」とは言えません。「根が粗い」とか「移植が困難」とかという言い方が正しいでしょう。

 根切りのコツは鋭い刃物でスパッと切ることです。ちぎったような切り方ですと腐れが入ったりします。スコップの先端を研いで少し鋭利にし足を掛けて一気にザクッと切るか、エンピと呼ばれる道具で切るか、ある程度根を露出させてから丁寧に剪定鋏で切り戻すかです。鋏で切り戻してやるのが一番理想的でしょう。

 切り取った古い根は除去して新しい土と堆肥、土壌改良材を混ぜて埋め戻し、十分に灌水してください。


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