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投稿日:2007/10/07(Sun)

Q:95 自宅の生垣(樫)を自分で10年間程刈り込み剪定してきましたが丈も高くなったので先端を強く切り戻しをしたのです。
先端の切り口から枝が多数出てきましたが今迄と同様な刈り込み剪定を数回繰り返すと先端が団子状態になってきました。
樫の木を一定の高さに抑えかつ先端が団子状態にならないような生垣の木にするには先端の剪定をどの様にすれば良いのか教えてください。
また、胴吹はむしり取るほうが良いのでしょうか?

A:
 樹勢の逃げ場を作りながら剪定することが大事です。「切り戻し」とは長すぎる枝を「切り詰める」事ではなく、まだ短い脇枝に「切り替える」事を言います。脇枝のすぐ上で切れば樹勢はその脇枝に流れますので切り口から枝が多数出ることはありません。きちんと枝分かれの位置で切らないと、少しでも切り落とした方の軸が残っていればその切り口に樹勢が集中するのでいっぺんに細かい枝が吹いて来るわけです。

 言葉では説明しにくいのですが枝の剪定も「CODIT論」に従うのが基本です。枝先であってもズンドに切らないということです。必ず樹勢が逃げられる小枝を残しながら剪定します。木の輪郭より内部にある脇芽に切り替えていくと自然に「透かし」の状態になるはずです。

 胴吹き芽は特にシラカシなどによく発生しますね。幹から直接吹いているものは取りますが、枝の途中から吹いているものはどうでしょう。教則本的に言えば取るものなのですが、状況によっては残した方がよい場合もあります。例えば輪郭をうんと詰めたい時などは輪郭より幹に近いところにある胴吹き芽を利用すれば確実に木の大きさを小さくすることができます。芽や枝のあるところで切る、という原則が守られることになります。
 胴吹きは強剪定のあとに出やすいのですが、それは言うまでもなく失った枝葉を早急に補おうとするからです。徒長枝などと同じく木にしてみれば必要があって出すものですから「意味のある」枝です。人間が勝手に「無駄枝」とか「忌み枝」とか言って切り取ろうとしますが、木にとって無駄な物など一つもないのです。
 将来的に切り戻しに使えそうな枝ならば胴吹きであろうと残した方がよいですし、どうしても美観を損なうなら取っても良いでしょう。大切なことは「その行為に意味を持つ」ということです。意味のある物に対して”やみくもに”とか”ワケもなく”とかいう接し方をしなければそれでよいと思います。


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