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〜正しい木の植え方 その1〜


「深植え」はやめてくれ!(2005/2/8)
2002/05/12
   
 うちの会社は植栽工事よりも管理仕事の方がずっと割合が大きいので、他業者が植えた木を管理するというパターンがほとんどです。特にマンションなどで冬の時期は施肥作業をしていますが、当然根のまわりを掘って肥料をすき込むので「深植え」がやたらと目に付きます。「殺す気か!」っていうくらいほとんどの木が深く植えられています(埋められているというべきか?)。
 こんな現場を見るに付け、同じ植木屋がこんなむごいことをやっているかと思うと腹が立ちます。でも救い出してやるには管理組合に掛け合って多額の予算を投入しなければならないので、私たちに出来ることと言えばせめて酸素供給性能のある土壌改良材(ホワイトロームなど)を混入してやることくらいです。こんな状態ではいくら手入れや消毒をやったってちっとも木は元気になれません。

 なぜ同業者が「深植え」をするのか?
植栽工事には通常「枯れ補償」というものがあって、長いものでも1年間です。つまり1年過ぎて枯れたら交換は有料になる、1年もってくれりゃあいい、という乱暴な考え方もあるわけです。
あえて「深植え」することによって、根が乾燥しにくいから水やりの経費を掛けないで済む。深く植えれば倒れにくくなるから支柱する経費が浮く。おおむねこんな理由です。
「植栽工事の予算が無いから、、、」結局それですか?工事屋はいつもそうやって言い訳をするのです。予算がないなら一回り、二回り小さい木にしてもらえばすればいい、本数を減らせばいい。ちゃんと正しく植えてやれよ!金儲けの道具に生き物を使うなよ!そんなに儲かりたいなら他の仕事にしろよ!

 実際にその木を植えている人はどう思っているのだろう。上から言われたから仕方なくそうやっているのだろうか?・・・ だとしたら何も言えないけど、上の人に提言もできないのだろうか。あるいは言われたことだけ言われたようにやっていればいいと思っているのか。あるいは本当に何〜んにも知らないのか、、、。

 指示している人は何を考えているのだろう?ただ経費を浮かすことだけ考えて木の命なんてどうでもいいのか、ホントはこんな仕事ちっとも好きじゃないのか、2年後に枯れてくれればまた一仕事増えるともくろんでいるのか、適当に枯れる木がなきゃ生産者が儲からないと思いやっているのか、、、。

「深植え」を無くして欲しい。
何も難しいことはない。その木がその前に生えていた状態と同じ状態に植えてやれば良いだけのこと。根の上に土をかぶせなければ良いだけのこと。
そりゃ倒れやすいでしょうよ。だからちゃんと手間を掛けて支柱してやれば良いことでしょ?支柱するのを面倒臭がるから「土に埋めて固めちゃえ」なんて考えるんです。
乾きやすけりゃ初めのうちは水くらいやってあげてくださいよ。命を預かった責任でしょ?
そうしてやれば、今は倒れやすくて乾きやすい木でも長い目で見れば「深植え」された木よりもずっと長生きで元気な木になるんです。本当です!

「深植え」は木を想うなら絶対に放置してはいけない状況です。すぐに枯れることはありませんが数年のうちにどんどん樹勢は衰え寿命を全うすることなく枯死するでしょう。いくら水をやっても肥料を入れてもそれはかえって逆効果です。地表近くに「二段根」を出して必死に頑張ってはくれますがそれは健康とは逆の方へ進んでいく変化です。

 水よりも肥料よりも大事なものは「酸素」です。植えてから何年も経っている木にあえて水なんかやらなくても自然に雨が降ります。肥料なんて無くたって死にゃあしません。でも「深植え」になって酸欠状態の根に酸素を供給するには掘り出してやるしかないでしょう。(それが不可能なら「酸素管」を埋め込む手もありますが)
根張りが見えていても可哀想と思って土を盛ったりしないでください。鉢植えの土が植え替えで余ったからと言って根の上に乗せないでください。駐車場を作るために掘り上げた土を処分費がもったいないと言って庭に均さないでください。


 風邪が早く治るようにとマスクを五枚も十枚も重ねて付けられたらあなた、どうですか?ありがた迷惑じゃありませんか?とーっても息苦しくありませんか?



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