マツの手入れ その2
年数が経つと多数の枝が折り重なってきます。それを放置すると日の当たらない下の枝は次第に枯れていきます。上の写真左の枝をちょっと避けてみるとその下にある枝が枯れています(写真中)。枯れ枝からは決して芽が吹きませんから切り取ると右の写真のようになってしまいます。
当然ぽっかりと穴が空いてしまいます。こうならない為に上下に重なった枝を整理し下の枝が枯れないよう事前に対処していくわけです。(このマツでのこの手の枯れ枝はこの1箇所だけでした。)
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切り戻し 例1
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ごちゃごちゃと密集している芽は日照を遮りますので、脇芽に切り戻します。マツに限らず玉チラシの仕様で鑑賞する木(ツゲ、マキなど)は玉の厚みがありすぎてボテッとした感じになると重苦しく見えます。ただでさえ木の芽は玉の内側に芽吹くのを避け、輪郭の外へ出ようとしますので、玉の厚みが増すばかりですから脇芽があったらすかさず早めに切り戻しておきます。
ただし、周りに良い芽が無い場合や形状維持段階に至らない若木のうちはこの限りではありません。状況によって判断してください。
マツの手入れの極意は芽数の調整と切り戻しにより、枝葉の濃さをバランスよく整えることにあります。古葉をむしれば当然透けてきますが枝先の芽を残して古葉をむしる事だけに終始していると将来的には玉が分厚くなって中枝が無い間延びした枝ばかりになってしまいます。
枝の先々に養分が均一に行き渡り、日光が満遍なく全体に行き渡る状態が木の健康を保ち、かつ、美観をかもしだす要素でもあります。単に透けていれば良いというものではなく、木の生理を考慮したものでなければなりません。また将来を見据えて徐々に枝を更新しなければ末永く樹形を維持することはできません。
木は千差万別色々な状態で植わっています。日光も水も充分に与えられている元気な木もあれば、日陰でかすかすに生きている貧弱な木もあります。たくさんの性格の違う木に触れ、それぞれにあった剪定法を見出す努力をしてください。切り戻すことによって弱ってしまう木もあれば状態が同じようでも切り戻しに刺激されて息を吹き返す木もあります。十分に木と語り、最良の方法と、多くのパターンをマスターしてください。
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切り戻し 例2
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脇芽がある場合は切り戻し例2や3のように間延びした枝を切り戻して詰んだ小枝を作る準備をします。この脇芽がないといつまでたっても間延びした枝を切り詰めることができません。
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切り戻し 例3
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枝への養分は枝先から行き渡っていきますので間延びした枝の場合も養分が枝先に集中する為、放っておくと脇芽に養分が行かなくなりもろくなって落ちてしまったりします。脇芽を発見したらなるべく早めに切り戻してやるよう心がけます。初めは貧弱な小さな芽でも、今度からはそこに養分が来るようになるので新たな芽を出してくれるはずです。
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