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投稿日::2005/07/08(Fri)

Q:60 松の樹冠の大きさ 理想型というか標準というか、何か目安とかありますでしょうか。

海外勤務で3年放置した樹を、昨年は積もった葉っぱを取り除いて枯れてしまった枝を落とし(涙)、とりあえず下から青空が見える程度に1mほど切り戻して、この春はそのままミドリだけつんで様子を見ているのですが、どうやら樹形を整えても大丈夫そうなので、来春までに手を入れていこうと思うのですが。

松の木の黄金律とか、ありますでしょうか?

A:

 理想型ですか、、、とにかく「頭でっかち」はいただけません。ツゲでもマツでも素人の方が趣味で手入れしている木を見るとほとんどがこの状態です。
 それでなくとも樹勢はてっぺんが一番強いので、頭を遠慮がちに刈り込みや剪定していると「頭でっかち」になってしまいます。少なくとも2段目の枝の輪郭よりも頭が出ないようすべきです。大きくて濃い頭は以下の枝の生長を阻害します。

 頭は芽吹き力も強いので下の枝よりも強めに。脇芽があればすかさずそこで切り戻しておくことが大事です。
 切り戻しが甘いと玉の厚みが増し、ぼてっとした重たい感じになりますので輪郭も小さく厚みも薄くを心がければよいと思います。

 枝打ちは基本的に言えば車枝(一つの段から四方に枝が張っている状態)を整理していきます。仕立てが出来上がっている木ならばそのまま玉を手入れすればよいのですが、これから幹に曲がりを付けたりする段階ならば、ジグザグに曲がった幹の外側の枝を残します。つまり「く」の字に曲がっているところは左側に出た枝を残して右側に出ている枝があれば切除します。

 紙に絵を描いてみるといいと思いますが、まず頭の部分に横広の楕円を描きます。その楕円の真下のところから下に向かってジグザグに稲光のような線を描きます。稲光のように下に向かうに連れて各線が長くなる感じです。
 次に先ほど申し上げたように「く」に曲がっているところは左側に、「逆く」の角は右側に短い横棒を引いてその先に楕円を描きます。楕円は下の段に行くほど大きくなります。輪郭の先端をつなぐと三角形になると思います。
 これでなんとなく仕立て風になるのですがちょっともの足りません。枝が左右に振っているだけで平面的だからです。幹の曲がりが見えすぎて趣がありません。
 頭の下の段から1,2,、、、と下の段に数字を付けたとして、2と3の間のジグザグの線上に(角ではない)楕円を描いてみます。同様に4と5の間にも幹のライン上に楕円を描きます。こうしてみると少し奥行きが出て幹も適度に見え隠れするでしょう。
 これを基本としてバリエーションを加えれば理想の形が見つかるのではないでしょうか?ひとつの簡単な例ですが。

 仕立物を作る場合バチを当てたり紐で引っぱったりして枝を下げますが、これは見栄えだけではなく脇芽を多く吹かせるためにとても有効な手段なのです。
 形を作るためにも脇芽を吹かして玉をコンパクトにまとめるためにも枝が固くならないうちから枝を引き下げておくと良いでしょう。


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