投稿日:2006/11/05(Sun) |
Q:26-1 |
初めまして、京都の大学で建築を専攻している者です。サイト楽しく拝見させて頂きました。 さて質問なのですが今僕はタイトルにあるように卒業設計を考えている真っ最中で、助言を頂きたくメールをしました。 僕がやろうとしているテーマは尼崎臨海部の工場地帯の再生です。工場地帯の雰囲気は美術館では味わえないようなスケールのでかいものを見れますし、工場のパイプがむきだしなのもワクワクさせるものがあり、こういった場所を市民が安心して楽しく遊べる場所になればと思ったのが発端です。工場地帯の抱える問題は 土壌汚染が進んでいる場所がある 遊休地(空き地)が多い 空気が汚い また利点は 高速道路や広い道があり、運河もあり交通の便のインフラが充実している 普段生活しているだけでは見れない、工場や船のスケールの大きな空間体験がある といったものです。工場地帯と街との間に長さ2km、幅40mほどの長〜い造園所を宙に浮かせたかたち(屋上庭園の屋上だけが2kmにわたって存在すると考えて頂けたら想像しやすいかと思います)で作り、市民が公園としても利用できるような場所を計画しています。 計画の要点は、そこでできた木の種子が工場地帯に飛んでいき、臨海部の空きスペースや廃工場から20年後、30年後にどんどん生えていく(古代遺跡のような雰囲気に…)自然的緑化と造園所で育てた樹木を工場地帯に植樹する人工的緑化とで工場地帯を緑溢れる場所に変身させるというものです。 さてさてそこで質問なのですが、 1、山に比べて人工地盤の上に造園することはかなり難しいのはわかっていますが、しっかり管理をすれば可能であるか、見解をお聞かせください 2、本当に種が飛んだり鳥や虫が運んだりして自然発生的に空きスペースに木が生えるか、またはそうなりやすい木の種類はどんなか 3、汚染された土地でもパワフルに育つ木はなにか、またそんな木はない!となるなら木が生えるまでに自然ができる土壌改善方法を造園家の視点でお願いします です。突拍子もない質問で申し訳ありませんが答えて頂けたら幸いです。 |
A: |
大変熱のこもったメッセージに若い力を感じます。数日考えましたが正直に申し上げてこういう架空の問いには答える気力が湧きません。 会社の経営理念にも謳っていますが「誰のためにやっているのか明確」でないことには情熱が湧かないし、役所が頼まれもしないのに巨額を投じてやっている公共工事の類には興味が無いのです。(だから請け負わない) あなたの言うこの工事がもし行われるとして、一体誰のための工事なんでしょうか?土壌汚染が進んでいて空気の汚い空間にわざわざ足を運んで工場や船の大きなスケールに心打たれたいと思う人がどれほど居るのでしょうか? 汚染された土を掘り、埃にまみれてその工事を請け負う人々の健康や、実験台のように植樹される木々の苦しみはあなたの計画の中に考慮されているのでしょうか?出来上がったものだけでなくそれを作る過程に無理はありませんか。 空想の世界で何を考えようと自由ですが、あなたが立派な社会人になってあなたの設計した都市空間が実現する時には、汚れたものを植物に浄化させるのではなく、汚さない工夫を踏まえた人に優しい作品を目指して欲しいものです。 人が手を出せば出すほど世界はややこしくなっていく と私は日頃思っています。 あなたを怒らせてしまったと思うけれど大人げなく正直に答えてしまいました。悪い癖なんですが、、、ごめんなさい。 |
Q:26-2 |
いえ、怒るだなんて。正直に答えて頂きありがとうございます。 尼崎臨海部はお世辞にも人が住めるとはいいがたい地域で、今活動している工業もいずれは中国にとられ、汚染された土地しか残らず、今のうちに自然浄化させれればと思っての提案だったのですが、おっしゃる通り「過程に無理」がありますね。。。 ありがとうございます、やっぱり建築家という職能を活かしたような案にします! ぶしつけな質問に答えてくれてありがとうございました。 |