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投稿日:2004/10/20(Wed)

Q:28-1 去年の夏の事なのですが僕が手入れをさせてもらっている桜が急に枯れてしまいました。高さ4メートルぐらいの枝垂桜なのですが、その年の2月に少し絡んでいる枝を剪定し、春にはお客さんも喜ぶほど花が咲いたので安心していたのですが、お盆前に急に葉っぱが茶色くなり1週間も経たないうちに全て落葉してしまいました。僕は長雨のせいで根腐れをおこしたのか思うのですが似たような経験がおありでしょうか。

A:

 自分のお客さんの所でシダレザクラについて同じ経験はありませんが、そういう状況を目にすることはあります。あなたは同業者とお見受けしますが、その時の状況をどう記憶(記録)していますか?ただ枯れちゃったと言われても何を申し上げたらいいものやら、、、。
 原因が知りたいというなら詳しい状況を教えて頂かないと答えられません。枝や幹の表面の様子はどうだったか(病斑やしわなど)、幹や枝の断面はどうだったか、コスカシバによる樹脂の漏出はなかったか、地際や根の様子、土の状態、土の臭い、根の断面の色などなど、原因を突き止めるには多くの情報が必要です。プロである以上、「ただ抜いて捨てちゃいました」なんてことはありますまいな?それではせっかくの枯れ木のメッセージを今後に活かせませんよね。

 経験から申せば腐朽菌によるものか胴枯病か根腐病のいずれかであろうとは思いますが、あなたの言う「長雨による根腐れ」という判断はちょっとひっかかります。
 当然のことですが「根腐れ」と「根腐病」は違います。「根腐病」はカビの一種、リゾクトニア・ソラニが感染して起こる病気のことですが、「根腐れ」とは「根腐病」や他の原因によって生じる状況のことを言います。
 長雨によってひたひたに水に浸かっていたから根が腐ったという考えは素人の考え方です。水耕栽培の野菜や草花には根腐れはほとんど生じません。樹木を水耕栽培できるとしたら同じ事です。根腐れする原因のほとんどはカビによるもので、水中にカビが生息しないことから考えると「土」に発生源があるわけです。
 冠水によってカビが伝搬しやすくなり「根腐病」に罹りやすくなるということはありますが、長雨=根腐れ、ではないことは十分な認識が必要でしょう。


Q:28-2


説明不足で申し訳ありませんでした。今年の春になっても葉が一枚もふかなかったので5月に伐採伐根をしました。その際枝や幹に病斑やしわ、コスカシバによるヤニや糞、きのこなどは付着していませんでした。ただ根や枝、幹を切った切り口にいずれも黒い斑点の様なものが見て取れました。この程度の記憶しかない自分はほとんど木をただ抜いて捨てた事と同じ事をしてしまったと思います。木とお客さんに申し訳ない事をしてしまいました。

A:

 自社の従業員への小言みたいなことを言ってしまいました。枯れ木をただのゴミとして捉えず、無駄死にさせない気持ちは職人として皆持ち続けていたいものですね。またお寄りください。


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