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投稿日:2005/10/10(Mon)

Q:34-1 マンション駐車場のケヤキの事で教えて欲しい事があります。茶色で5ミリ位の大きさの虫のフンがいっぱい落ちてきます。
落ち葉には所々虫食いの跡が見られます。
葉の食べ方からニレハムシのフンかと思いましたが、良く見ると、幹や枝にイラガの繭が多数見られます。
何の虫のフンか予想できましたら教えてください。
鳥の糞も良く落とされるのですが、鳥はイラガの幼虫も食べるのでしょうか?それも教えていただけたら有りがたいです。

A:

 ニレハムシの糞にしては大きいのでたぶんイラガの食害だと思います。今年は例年より多いように感じられます。カキやサンゴジュなどに多く見られますが先日はレッドロビンに付いていました。触れるととても痛く、後々までかゆくて掻くと痛くて、、、チャドクガの次に嫌な虫です!

 鳥は若鳥の頃一度は食べてみると思いますが、こりゃあダメだと学習してその後は二度と口にしないでしょう。チャドクガと同じです。
 薬剤を使わない防除法としてはマユのうちに潰しておくことでしょう。

Q:34-2

実は、このケヤキは色々問題を抱えています。3〜7月は毎年アブラムシが異常発生し甘露で車のフロントガラスが曇って前も見えない位になると言う苦情が多く出されています。(この甘露は今年までケヤキの出す樹液だと長く信じられ、イラガのフンもケヤキの実だと勘違いされていました。)

そういう事情で先月まではケヤキ伐採まで話が進んでいました。
それが、色々調べてみるとほとんどが虫からくる被害だと判ったのですが、問題は当方のマンションの方針が農水産省の発令を受けて薬剤散布を2001年から禁止している事です。

散布で無い方法としてアブラムシ発生直前にオルトランカプセルの使用と、この冬の剪定(こちらのケヤキ剪定写真を参考に来年、初めて行う予定です)それと剪定後の石灰硫黄合剤の散布を考えているのですが、普通に散布が出来ないのでケヤキの幹の部分だけ袋状にビニールで覆い外に薬剤が漏れない様にしてその部分にだけ薬散すればどうだろうと考えています。
その方法でアブラムシの駆除は出来るでしょうか?

ケヤキは全部で16本あります。高さは、まちまちですが大きいのはマンションの5階部分までとどいています。

それと、オルトランカプセルの効果と実施時期はどうして決めたら良いのか教えていただけないでしょうか?

A:

 幹をビニールで覆って云々というのはよくわかりませんが手間が掛かる割に効果がないと思います。木の大きさから言ってやはり動噴での葉面散布が良いと思いますが、薬剤散布を禁止しているとのことですね。

 この掲示板でも何度かお話ししていますが、薬剤ではなく口に入れても安全な素材を使って害虫退治する試みが最近進んでいます。弊社で使っているのはセルコートアグリという商品ですが(リンク集内カラーケミカルの中にあります)、これはいわゆるオブラートで被膜を作り虫を窒息死させる方法です。この他にもでんぷんで被膜をつくるスプレーなどが住化タケダ園芸(これもリンク集にあります)他から出ています。
 ディプテレックスやカルホスなどの薬剤とは違い、散布直後に虫がボタボタ落ちてくるなんていう派手さはありませんが、繰り返し根気よく使用することで少しずつ効果が出てきている実感はあります。

 安全な素材だとしても散布は出来ないというのなら、いわゆる忌避剤を塗るとかナフタリンをぶら下げるとか(これも結構効果があるそうで見直されています)。アブラムシならアルミホイル片をぶら下げるだけでも付きにくくなります(反射光を嫌うため)。

 オルトランカプセルについてですが、、、、
 賛成できませんね。幹にドリルで穴を空けてカプセルを打ち込むなんて、、、、とても木のことを考えているとは思えません!  虫さえいなくなれば木が枯れてもいいんでしょうか?木を害虫から守るために薬剤を作っている会社がどうして木を枯らす製品も作っているのか解せません。

 なぜ木に穴を空けると枯れるのか今更説明するまでもありませんが、木を傷つけることは「腐朽菌」を呼び込むこと。そして道管や師管を切断することは水や養分の流通を遮断することであるからです。
 幹周りに10センチ間隔でドリルで穴を空けカプセルを打ち込むなんて想像しただけでぞっとします。ストローに針で穴を空けて、それで水を吸ってご覧なさい、吸えますか?

 虫の害で木が枯れるのか、人間の身勝手な「治療」で木が苦しんでいるのかよく考えるべきです。大きなまちがいをする前に住民の方々とよくお話になってカプセルの使用は思いとどまるべきと私は考えます。

 散布は虫が活動を始めたらですから3月くらいでしょうか?1回だけでは効果は薄いと思います。それからセルコートアグリを使うなら家庭用の洗剤を混ぜるとより効果的です。詳しくは製品のHPをご覧ください。

 アブラムシは成虫の状態で越冬したり、卵で越冬するものもいます。石灰硫黄合剤はどちらにも効果がありますが使用時期的には1月〜2月が良いと思います。
 たぶんアルカリ性がきついので葉を痛めるから休眠期に散布するのだと思いますが、幹だけに塗るなら40倍程度なら今の時期でも大丈夫かなぁ、、、。ちょっと自信がないので今すぐに塗るなら一部分で試してみてから全体をやった方が良いと思います。

 洗剤を薄めた水をかけるだけでも界面活性剤の作用で被膜を作りアブラムシを窒息させるには足るようですから、まずはその辺の方法から試してみてはいかがでしょう。牛乳でも良いらしいですが後が臭くていけません。


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