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投稿日:2008/07/01(Tue)

Q:48-1 昨年植えた株立ち(寄せ植え)のヤマボウシの元気がありません。黄色に変色した葉っぱがちらほら見えて、枯れ枝も増えたように感じます。花も咲きませんでした。
最近木の側に立って感じたのですが、植えた場所が風の通り道になっていて他はあまり風が吹いていなくても、そこだけ風が強いのです。関係あるでしょうか?また何か風対策はあるでしょうか?
他に気になる点としては去年はアブラムシが大発生し、今年も発生していたのでオルトランを撒きました。

A:
黄変した葉に黒い斑点があれば「炭疽病」の可能性があります。ベンレートなどでの殺菌が必要です。アブラムシが大量に出ていたとすれば「スス病」も発生している可能性がありますのでこれにもベンレートが効きます。(ただし病気の拡大を防ぐだけで、病斑が取れるわけではありません。)アブラムシはいろいろな病気を伝搬しますのであなどれません。オルトランは散布したのでしょうか?それとも粒剤を地面に撒いたのでしょうか?草花などの鉢植え程度なら顆粒を地面に撒いて木に吸わせる方法でも効果がありますが、庭木サイズになるとこの方法では間に合いません。水和剤を散布した方が良いです。

 風が成長に与える影響としては、新芽が出る時期に強風にあおられて新芽が痛んで枯れたり、小枝が折れて枯れたりと言うことはありますが、木全体が枯れてしまうほど木はヤワではないはずです。

 支柱はちゃんと掛けてありますか?通常は竹3本と根杭を八つ掛けという形に掛けて木を支えたり、鳥居型の丸太で街路樹のような支柱を立てたりします。株立ちと言うことでしたら普通は前者を使うでしょう。
 支柱は植えたばかりの木には必ず据えなくてはいけません。株立ちの美しい幹立ちを阻害したりして見栄えは良いとは言えませんが、根付くまでは我慢してください。支柱がしてあるならばちょっと揺すってみてください。ぐらつくようでは支柱の意味がありません。飾りではありませんので。

 想像してみてください。植え付けられたとき木の根は根巻材に包まれています。数ヶ月経つと根巻きを突き破って新しい小さな根っこが庭の土の方へ伸びてきます。新しい土に根を差し込んだとたんに木が風で揺らされたらその若い根はプチッと切れてしまいますよね。新しい根を出すたびに揺らされて根が切られていてはいつまでたっても根が張れません。それを助けるために支柱をするわけです。少なくとも2年間くらいは掛けておきたいものです。

 花が咲かないことは今はあまり気にしないでください。移植によって根を切られてそこへ運ばれてきたわけですから、木にとっては今は一生懸命根を張ってその地に根付くことが優先課題です。根が勢いよく伸びているときは花は付きにくいものです。若木に花が咲かないのもそういう理由です。成長が優先されているときは花はあまり咲きません。年をとって木が充実してくれば次のこと(つまり花を咲かせて実を付けて次代を残す)に移行してきます。人生と同じようなものです。

 今は根鉢が揺らされないよう風に負けない支柱をチェックして、木が根付くことを助けてあげてください。風の抵抗を軽減するために枝葉を抜きたいところですが、葉数を減らすと逆効果ですので強い剪定はせず樹勢を付けることが先決です。

 一つの葉っぱには1本の根が繋がっています。漠然とたくさんの根がたくさんの葉の面倒を見ているのではなく、1対1の関係です。1枚の葉が落ちるということはそれに対応する1本の小さな根がダメになったという事になります。もちろん病気や害虫によって葉がやられることもありますが、目に見えない地中に目を向けてやることが木を育てる上でとても大事なことです。「深植えされて根が酸欠で苦しんでいないだろうか」「揺らされて新しい根が切れていないだろうか」「根が伸びる十分なスペースが地中にあるだろうか」「水は根の底の部分にまでちゃんと行き渡っているだろうか」などなど。

 地上部の病害虫などは見ればすぐ対応も出来ますが、地中の問題は見えないだけに文字通り”根が深い”。トラブルの多くは根っこに問題がある場合がほとんどなんです。

Q:48-2 まるで家の庭を見て回答頂いている様に的を突いていてびっくりです。

@オルトラン
ご指摘のとおり粒剤を撒いただけです。
それでも一応木の下半分のアブラムシはいなくなりました。
上半分は家のキンチョールを吹いたところ一時は居なくなりましたが、また少しつき始めているようです。
木のすぐ側に菜園があるので、薬の散布は少し気が引けます。

A支柱
ご指摘のとおり支柱はしていませんでした。
自分で出来るか心配ですが、とりあえずやってみます。
株は7本あるので、全部固定できなくてもいいのでしょうか?

A:
@薬剤の散布がお嫌でしたらアルミホイルなどを枝間にぶら下げて反射光を嫌うアブラムシを減らすことも出来ます。また、テントウムシが増えてくれればアブラムシを捕食してくれるでしょう。

 A素人の方がご自分でなさるのは無理だと思います。プロでさえも結構いい加減な「効かない支柱」をする人もいます。目的を意識して仕事してくれる植木屋さんに依頼してください。支柱の竹を刺す地面が狭い場合は鳥居型やワイヤーで3方から引っ張る方法などもあります。株立ちの場合は2本程度の太い幹を対象に支柱すれば大丈夫です。全部固定する必要はありません。

 その他の対処法としては樹勢を回復するために活力剤をあげたり、マニアックなところでは菌根菌を撒くなどの方法もあります。


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