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〜従業員の雇用歴について〜その3


3ページめ

   1996年(H8)1年間だけで6人入って4人抜けている。
   2,3日しか来なかったアルバイトを入れればもっとになる。
   Xは先ほどの理由で辞めた、自己都合である。
   2月に入って12月に辞めたEは経験者だったが、前の会社で
   軽く扱われているのが不満だったらしく、こちらに来たようだった。
   ウチで前より少しはいい給料をもらって元気に働いていたが、
   ある日バイクで事故り、12月から翌年5月まで入院してしまった。
   気の毒に思い給料の7割程度をその間ずっと支給してやって、一人暮らしの
   彼のアパートへも女房が時々出向いては掃除してやったりしていた。
   にもかかわらず、退院したとたんに「辞めます」の一言である。
   仕事が出来ない体になったわけではない。翌年同業他社で働く彼を見た。
   私と女房の気持ちはどこへぶつければいいのだろう。

   アルバイト扱いのSはボクシングの夢が捨てられず、時折試合に出ていた。
   減量などもあるので毎日来ることが出来ないのでアルバイトだった。
   戦っても戦っても日の目を見られずで、その後どうなったのだろうか、、、。

   I2も変わった男だった。
   育児中の奥さんを支える為に働きに来ていたのだったが、彼はもともと「専業主夫」だったのだ。
   奥さんが仕事に復帰出来るまで代わりに働くというおかしな状況だった。
   私より4,5歳年上だったので仕事以外のことでは良い話し相手になってくれて
   若者たちの扱いに手を焼いていた私にとっては精神的な救いでもあった。
   奥さんの職場復帰と入れ替えに、その「専業主夫」は去っていった。

12年目1997年(H9):O,Z,N,M2,H,(T)(S)

       3月:-O =Z,N,M2,H,(T)(S)
   12月:+(W) =Z,N,M2,H,(T)(S)(W)

   8年間勤めたOが独立した。
   もうほとんどの仕事はこなせた。工事も手入れも一人前だ。
     退職金でトラックを買い、仕事も順調だったが、やはり雇用の壁にぶつかった。
   アルバイトを使っていたが仕事を任せられず苦労していたようだ。
   仕事が詰まってくる、バイトは使えない、見積もりの催促が来る、
   そのハードな生活は夫婦の間に亀裂を生じ離婚。
   ますます彼は忙しさに押しつぶされ、やがて廃業、姿をくらました。
   技術だけではやっていけない仕事の難しさがそこにある。

   なぜそんなにまでして独立しなければならないのだろう。
   黙っていても毎日仕事があって、自分の技術が生かせて、たまに休みも取れて、
   それほど窮屈な環境ではないのになぜ会社から抜け出なければならないのだろう。
   社長のご機嫌さえ損ねなければ(?)一生安定した暮らしが出来るのに
   なぜわざわざ苦難の道を選ぶのだろう。

   ロマン? 夢? 
   私のように”やむを得ず独立した”人間には理解できぬ。

  13年目1998年(H10)

   3月:-(S) =Z,N,M2,H,(T)(W)

     この時点でZは4年目、M2とNとHは2年目である。
     ZはOに仕事を教わる形で成長した。遅刻の多い男だったが仕事は出来た。
     ある程度仕事が出来るようになると私とぶつかることが多くなるのは皆共通している。
     特に独立していくような連中は必ず一度は私とぶつかるものだ。
     まあ逆に言えばそのくらい生意気で自信過剰で図々しいヤツでないと一匹狼にはなれぬ。

        Nは力はあったが仕事のセンスは無かった。簡単な計算も出来ないようだと工事もできないのだ。
     先に独立したOが手元にともらっていったがやがて首になったらしい。
     ボクサーのSがアルバイトを辞めた。選手をあきらめ後輩の指導にまわることにしたらしい。

   5月:-N,+(B) =Z,M2,H,(T),(W),(B)
   7月:+G,+R =Z,M2,H,G,R,(T),(W),(B)
   8月:+J,+C,-(B) =Z,M2,H,G,R,J,C,(T),(W)
   9月:-Z,-W,-G,+X2,+Q,+A,+V = M2,H,R,J,C,X2,Q,A,V,(T)
   10月:+N2,-C,-X2=M2,H,R,J,Q,A,V,N2,(T)

     すさまじい入れ替わりである。数日しか来なかったバイトもこのほかにいる。
     なぜかこの年は「高校中退」の若者が通り過ぎていった。当然誰も残らなかったが。
     Nが辞め、Zが独立してしまったので2年生のM2やHが親方のポジションになった。
     自分の仕事もおぼつかないのに下の面倒を見るのは大変なことである。
     私も昔は造園会社に勤めていたから下の面倒を見る大変さはよくわかる。
     やっと少し仕事を覚えたと思うとやめてしまう、そしてまた新人の教育、、、。
     そこが会社勤めのしんどいところである。
     「自分が仕事したいだけなのに、下の面倒を見る仕事なんてまっぴらだ」そう思って
     独立したくなる気持ちはわからぬでもない。

     Gはクビにした。仕事中に切り落とした枝でトラックの燃料タンクを損傷し、
     その事実を報告せず、黙っていたからだ。関西弁の愉快な男だったが、辞めてもらった。
     失敗は仕方ないことだが、その失敗のケツをぬぐえないヤツは駄目だ。
     信頼関係がなければ一緒にやっていくことは出来ない。

14年目1999年(H11)

   5月:-M2 = H,R,J,Q,A,V,N2,(T)
11月:+L = H,R,J,Q,A,V,N2,L,(T)

     M2が独立した。独立といっても下請けだから私に言わせれば仕事をもらう相手が
     代わっただけなのだが、現在は元請け仕事も増えて順調にやっているようだ。
     M2はコンピュータに明るかったのでデータベースのプログラミングも手伝ってもらった。
     彼が元を作ってくれた「顧客管理システム」は今でもウチで活躍している。

     Lは当社初の外国人で、確かベトナム人だったと思う。
     たどたどしい日本語で「社っ長〜さん」と呼ぶので「社長に”さん”はいらないよ」と教えた。
     外人に偏見を持っているわけではないが、植木屋として個人庭で仕事するのはやはり抵抗がある。
     業種によるのだろうが、私はあまり進んで雇いたいとは思わない。

15年目2000年(H12)

   1月:-L,-N2,-A = H,R,J,Q,V,(T)

     AとQは女性である。ほぼ同時期に入社したが、Aは1年半ほどで退職した。
     一生懸命やっているのだが結果が出せない、花の知識は豊富なのに手が遅い。
     早くてキレイが当たり前のこの世界で、どうやって彼女を救えば良かったのだろう、、、。
     Qは現在も在職して管理部の長をやっている。
     QはOLからの転職者でホームページの立ち上げを主な仕事としていたこともあり、
     彼女のお陰でこの年1月にホームページを開設することが出来たのだ。

   3月:+N3,+G2,-G2=H,R,J,Q,V,N3,(T)
   4月:+M3=H,R,J,Q,V,N3,M3,(T)

     M3は職業訓練校を経て入ってきた歴代4人目の女性社員である。
     私は女性だからといって差し引いて見ることはない。過剰に気を遣うこともない。
     従業員を男も女もなく見られるのは私の才能だと思っている。
     給料に関してまったく差別しない代わりに、仕事での扱いも同等である。
     3人姉弟の末っ子だった私は上の姉2人の実態を目の当たりにしているから
     女性を女と見る前に単なる人間の一人として見ることに無理がないのだ。

16年目2001年(H13)

   3月:-R=H,J,Q,V,N3,M3,(T)

     関西弁のRは不動産屋から転職してきたのだが、
     植木屋になりたいわけでもなく、単なる生活の糧として勤めていたのだと思う。
     3年近く居たが辞めて、また不動産関係に戻っていった。

     N3はRの友達で、Rと同様の人種だった。3年も居たのに資格も取らず辞めていった。
     同じ仕事に携わる以上、少なくともその仕事が好きで
     やりたくてやっている人間と一緒に仕事したいものである。
     辞めるとわかっているから現場を任せることも出来ないし頼りにも出来ない。
     それでいて、こういうキャラに限って従業員の間では人気があって
     私が彼らをじゃけんに扱うと睨まれてしまうので始末が悪い。

   4月:+Y2,+O2=H,J,Q,V,N3,M3,Y2,O2,(T)
8月:-H=J,Q,V,N3,M3,Y2,O2,(T)
   9月:-O2,+(S2)=J,Q,V,N3,M3,Y2,(T),(S2)

     Y2は園芸学校を経て入社した女性社員で、置き場は男4人女3人となった。

     Hはウチが草刈りをしていた現場にやってきて「やりたい」と言い出した変わったヤツで
     当時まだ19歳だったと思う。
     若い人間は仕事の吸収が早い。体力も技術もどんどん伸びていく。
     入社して5年目のこの年、京都に修行に行きたいと言って退社した。独立を目指しているのだ。
     それから2年たった今年、こちらに戻ってきたところを捕まえた。もうほぼ一人前だ。
     工事の方を取得して独立に備えたいと言うことで再入社した。しばらくは居るだろう。

17年目2002年(H14)

   3月:+U2=J,Q,V,N3,M3,Y2,U2,(T),(S2)
4月:+Z2=J,Q,V,N3,M3,Y2,U2,Z2,(T),(S2)
  8月:-(S2)=J,Q,V,N3,M3,Y2,U2,Z2,(T),
   10月:-Y2=J,Q,V,N3,M3,U2,Z2,(T),
   11月:+X2=J,Q,V,N3,M3,U2,Z2,X2,(T),

     U2がM3と同じ職業訓練校から入社したので一時は女性4人になったが
     Y2が「おめでた」で田舎に帰ってしまった。女性はこれがあるからねぇ、、、。
     せっかく手に職を付けても結婚だ、出産だ、で終わりですからガックリきますわぁ。

そして今年。
18年目2003年(H15)

   3月:-N3,+T2=J,Q,V,M3,U2,Z2,X2,T2,(T)
     5月:+W2=J,Q,V,M3,U2,Z2,X2,T2,W2,(T)
   8月:-X2=J,Q,V,M3,U2,Z2,T2,W2,(T)
   9月:-U2,+H=J,Q,V,M3,Z2,T2,W2,H,(T)
11月:+(D2)=J,Q,V,M3,Z2,T2,W2,H,(T),(D2)

最近の出入りについてのコメントは差し控えます。
   もう少し懐かしくなってから語らないと、恨みがましくなったりしますから。

   というわけで現在に至っているわけですよ。
   どうですか?見ているだけでもしんどいでしょ?
   この流れすべて、私が意図したものではないのです。
   人を雇い始めれば社長の意志に関係なく、多かれ少なかれこんな事態になります。
   何十人も通り過ぎていく中で、片腕となって一生の仲間としてやっていける従業員はごくわずかです。

   従業員の立場からしても、自分の望む業種で、そこそこ満足できる条件と環境の中で、
   一生働いていける人間が一体どのくらい居るのでしょうか?
   社長と社員が巡り会って、お互いにうまくやっていける確率はどれほどのものでしょう?

       15年以上やってきて、やっと最近私は片腕たちを得た実感の中に現在居ます。
   人との出会いは運命としか言いようがありません。

   あなたにも素晴らしい出会いがありますように、祈っています。


     これで掲示板への答えを終わります。まさか最後まで読んでくれた人はいないと思いますが、、、。

                            2003年11月21日 木下


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